10月16日のゼミ&第4回サブゼミ報告

 10月16日のゼミは、東京証券取引所見学の際にお世話になった日本取引所グループ広報・IR部の髙橋康匡さんにお越しいただき、第4回目のサブゼミが行われました。髙橋さんには、取引所のビジネスに関わることから就職の話まで様々なお話をして頂きました。お話のところどころに衝撃的話題が織り交ぜられており、驚きと納得で満たされた2時間半でした。例え話が非常に分かりやすく、経済にとって重要であるのに、普段の生活ではなかなか意識しないため分かりづらかった取引所について理解が深まりました。本当にありがとうございました。

 新聞記事発表は、先ず、石塚君が「欧州、銀行に国債保有制」という記事に関して発表しました。欧州債務危機の際、ギリシャの債務問題を発端とした信用不安がポルトガルやイギリス、スペイン等のPIIGS諸国に広がり、さらに、これらの国々の国債を大量に保有していた銀行にも波及し、ベルギーのデクシアが破綻するなど信用不安の連鎖がありました。この連鎖を防ぐため欧州では、国債をリスク資産とみなして銀行の国債保有に上限を設けようとしているという内容です。リーマンショックのときに、一部の金融機関に税金を投入して救ったことに対する納税者達の反発が欧米であまりにも強く、これ以上税金を使って金融機関を救済できそうにないと欧米の政府が認識し、それなら、銀行の健全性を担保できる厳しい規制をつくろうという流れが、今回の記事の内容につながるという事も学びました。

  次に、経種君が「アジアと即日決済拡大」という記事について報告しました。日銀の新資金決済システムが10月13日から稼働し、システムの稼働時間が12時間半に伸びますが、それでもアメリカや欧州の決済システムの稼働時間には及ばないという記事です。「アメリカの会社とかが営業している時間に対応するために、もっと稼働時間を延長した方がよいとは思うが、そうすると労務コストが増加する問題もあり上手く行くかは分からない」と意見を述べていました。この記事に関しては学生だけで議論し、稼働時間延長が銀行の営業時間に影響を与えるのか、なぜアメリカや欧州の稼働時間は長いのかといった議題で話し合いました。

 レポート発表は、相次いだマシントラブルの影響により、今回分は次週へと延期となりました。

 サブゼミでは、髙橋さんに「証券取引所を取り巻く環境の変化」というテーマでお話頂きました。以下の話は、話されていたことのほんの一部です。取引所はみんなが儲からないと儲けられないので(特定の証券会社だけが儲かっても取引所は儲からない)、JPXは収益を向上させるために、村興しや町興しをして市場を活性化させようとしていること。東証は、企業にマザーズから2部、2部から1部へと成長してもらいたいと思っていて、中小型株が市場からM&Aなどで退出しないよう、中小型株を手厚く保護していることを最初にお話いただきました。次に、HFTの話題に移り、HFTは銘柄を選り好みしないですべての銘柄に朝一番に注文を発注し、買ったらすぐ売るという戦略で注文発注していること、それゆえに、市場に流動性を供給する役割を果たしているとも考えられることなどを、例え話を交え黒板を使いながら分かりやすく説明して頂きました。

 また、髙橋さんはリクルーターをされているご経験から、就職に関する質問についてもお答えして頂きました。なかでも、「ただ勉強ができますよという人でなく、部下したいと思える人が欲しい」とおっしゃっていたことや、「断られてもいいからOB訪問は行うべき」と述べられていたことが、僕にとってはとても強く印象に残っています。 髙橋さん、とても興味深い講演をありがとうございました。