1月8日のゼミ活動報告

今年度最後となる1月8日のゼミでは、最初に経種君が「銀行の金利リスク精査」という記事について発表しました。金融庁が、銀行の金利リスクを検査する新たな制度をつくろうとしているという記事です。経種君は「金利リスクの精査が始まり銀行の国債の保有量が減る可能性があるなかで、金融緩和が終わったら日銀の保有する国債の行く先はどうなるのかなと思った」と感想を述べていました。先生から、金融庁がなぜ今このようなことを言っているのかについての解説があり、「世界的な金融規制強化の流れの中で、国内では一方で金利引き下げ競争が激しくなり、他方で日本の財政状況から金利が上がる可能性もあるため、銀行の経営リスクを取り除くために、こうした動きが出ている」と仰っていました。

次に出縄さんが「自社株承継信託大和証券で販売」という記事について発表しました。大和証券が、証券会社としては初めて、りそな銀行の自社株承継信託を取り扱うという記事です。この自社株承継信託は、遺言代用信託の一種で企業の経営者向けのものであり、生前贈与扱いで、親族以外でも企業の経営を任せたい人に経営権を渡せ、経営者の生きているうちは経営者が経営権を維持できるという特徴があるという説明の後に、「委託者の意思が尊重されるので良いと思う。これから広がっていくのではないか」と出縄さんは述べていました。なぜ証券会社が自社株承継信託を扱うのかというこの記事に関しての議論があり、いくつか意見の一つですが、資産家にとって問題になる相続の関連商品を扱うことで、相続人とのつながりが出来るからだろうという意見がありました。

レポート報告は、ゼミ長の石塚君が『我が国のPTSの現状と課題について』というレポートをまとめてきました。日本のPTSでの取引量が欧米と比較してなぜ少ないのかを考察している5年ほど前に書かれたレポートです。レポートの内容と深見先生の解説からアメリカと日本のPTSを比べると、①マーケットメーカーの有無②ターゲットとした顧客の違い③最良執行義務の違いなどの相違点があり、それがPTSの取引量の違いの原因となっているようです。日本とは違いアメリカにはマーケットメーカー制度があり、市場に流動性を与えるためマーケットメーカーが気配値を提示して顧客の注文に応え売買することを行っていました。しかし、マーケットメーカーの在庫リスクをスプレッドを広くとることで吸収していたので、顧客にとっては売買コストが高くなり、コストが低いPTSなどに取引が流出する一因となりました。また、そもそもアメリカでは機関投資家が手数料や売買コストが高いことに対する不満を持っており、こうした不満を解消するために市場外取引システムが開設されたのに対し、日本のPTSは多くがネット証券によって運営され、その主たる顧客層は個人投資家でした。すなわち市場性のあるところに参入したアメリカと、シナジー効果を狙って参入した日本とではそもそもの成り立ちが違うこと。また、市場集中義務が撤廃されたときに導入された最良執行義務に対する日米の考えの違いも、PTSの利用が制限される一因となっているようです。