6月17日のゼミ活動報告をします。
今回の新聞報告は、株式報酬制度を導入している企業が増えてきているという記事を水野さんが報告しました。株式報酬制度とは、中期経営計画で目標にする利益額を達成すれば付与したり、数年かけて株式を付与したり、報酬として付与した株式に譲渡制限をつけて、一定期間株式の売却をできなくすることで、中長期の業績向上を経営者のインセンティブにする制度です。これまでは、ストックオプション(株式購入権)が一般的でしたが、短期的な株価を重視しやすくなりやすかったことから、最近では株式報酬制度を導入している企業が増えてきているとのことでした。
次に、テキスト報告は第5章「わが国の株式市場」を齋藤さんが、主として日本の上場制度、売買取引制度、決済システム、信用取引、値幅制限について報告されました。上場とは株式を証券取引所で不特定多数の投資家が売買できるようにすることです。証券取引所は信頼性を確保するために、独自の上場基準を設けており、そのハードルをクリアした適格な銘柄だけを取引の対象としています。
上場された株式の売買取引は、決められた立会時間内に取引が行われ、取引に参加できるのも、一定の条件を満たした取引参加者に限られています。そして、値付けは競争売買によって行われて、価格優先、時間優先原則に従い、最も優先する売呼値と最も優先する買呼値が一致したときにその値段を約定値段として売買契約が締結されています。
さて、株式の売買取引が成立すると、買い手と売り手の間で、お金と証券の受け渡しが行われます。こうした当事者の間で債権・債務を解消して取引を完了させる行為を決済といいます。ただ、取引が約定してから決済まで4日間のタイムラグが生じるため、取引相手が決済を履行しないこともあり得ます。このことをカウンターパーティーリスクといいます。このリスクを回避するために、セントラルカウンターパーティを設けて、支払い保証を負うシステムを導入しています。こうして、決済の履行を保証することで、投資家が安心して証券取引に参加することができるようにしているのです。
また、売買取引が円滑に行われるには、多数の取引注文がなければなりません。そこで、信用取引という制度も設けられています。信用取引とは分かりやすく言えば、お金は持っていないけれども株式を買いたい、株式は持っていないけれども、株式を売却したいと考えている人に、買付代金や株式を貸し付けて、市場の流動性を高めるものです。最後に、株価の乱高下は投資家を不安にさせます。そこで、値幅制限という制度が設けられています。値幅制限とは株価の変動幅を一定に制限しておき、株価の乱高下をしないようにするものです。こうしたいくつかの制度が設けられて、安心して投資家が取引できる市場が形成されていることを学びました。(担当:上原)