7月8日のゼミ活動報告(3期生)

 7月8日のゼミ活動は、新聞報告とテキスト学習を行いました。

 今回の新聞報告は鈴木君が、「日本株式会社」の株主の顔ぶれが変化していることに関する記事を報告しました。東証の「株式分布調査」によると個人株主数が362万人増え、全体の株主数も延べ5,080万人となったそうです。1967年以降で株主数が5,000万人を超えたのは初めてで、そのうちの97%は個人株主が占め、個人の参加増が全体の株主数を押し上げたようです。鈴木君の報告の後、討論に入り、個人株主は長期保有してくれるので、企業にとっては個人株主を増やすことはいいことじゃないかという主旨の意見が多く出ました。

 次に、テキストの学習内容は第8章の「債券の格付け」についてを、水野さんが報告しました。まず格付けとは、投資家がと発行体の間にある「情報の非対称」を改善すべく、第三者である格付機関によって債券の元金利支払いの確実性を評価し、その情報を投資家に提供するサービスです。家計には貸付での運用の際には二つの運用方法があります。一つは、会社が発行する社債のような本源的証券を直接買うことです。また、もう一つは、銀行に預金することです。ただし、前者では、投資家は発行体による債務不履行リスクに直面します。それゆえ、債券格付けが誕生したのです。債券格付けの誕生は、投資家と発行体との「情報の非対称性」を縮小し、より多くの人々の市場参入を促し、債券市場の発展に重要な役割を果たしました。

 さて、格付けビジネスの本質的な課題として、第一点目に挙げられるのは、発行企業からの独立性が確保されない状態で、本当に中立性を持った客観的な格付けができるのかというものです。そもそも格付けは勝手に格付けし、それを雑誌にして投資家に販売していたわけですが、それでは十分な利益の確保が厳しくなってきたため、コンサルティングサービスなどの付随事業に注力するようになりました。その結果、利益相反が懸念されるようになりました。次に、格付けによる自己実現的な破綻が生じていることです。格付け情報が準公共化されることに伴って影響力を持ち、その影響力ゆえに格付けトリガーが起こったためです。そして、スプリットレーティングです。同一の発行体に対する格付けであっても、格付け機関によって評価が大きく異なることです。これは、情報格差や暗黙の支援契約の有無、そして負債アンカリングという三つの仮説で説明されています。

 こうした格付け機関が抱える課題を踏まえて、それでも格付けは必要か、また、必要な場合は、どのような改善案を採るべきかを議論しました。ここでは、格付けを依頼する発行体から支払われるお金を直接格付け機関に支払うのではなく、一旦ファンドを経由して支払ってはどうか。国が格付け事業を行ってはどうかなどの様々な意見が出されました。