ゼミ紹介

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 私は、教員紹介のページに書かれた研究業績からもお分かり頂けるように、大学院時代は銀行や生命保険会社の歴史を研究していました。その後、前職である日本証券経済研究所への就職を機に、我が国証券市場の歴史を主たる研究対象とし、研究を進めています。

 現在の私の関心は大きく二つに分けることができます。一つは、史料を通じて我が国の証券市場の歴史を明らかにすることです。もう一つは、現在、私は『日本証券史資料』という資料集の編纂に携わっており、その一環として、証券史談という証券会社の経営者の方や行政担当者などへのオーラルヒストリーの聞き取りをしており、それを通じた戦後の我が国の証券会社経営、金融規制の歴史の再構築を行っています。

 担当者のこうした興味関心から、このゼミでは「証券会社の経営や証券市場の歴史」を中心に学修しています。戦後日本の証券会社経営は、昭和40年ごろに、株式委託売買手数料で経常収支を賄うよう行政方針が出されたこともあり、顧客からの株式の委託売買(ブローカー業務)を中心に発展して来ました。

 ところが、昭和50年代から、金融の自由化が進められ、証券会社の経営を取り巻く環境は大きく変化してきました。一つは銀証分離政策(戦後、日本の金融制度では預金を貸し付ける銀行業務は銀行が担い、株式や債券の引き受けやその販売、株式や債券の委託売買などの証券業務は証券会社が担うという分離政策が採られていた)が緩和され、平成になると銀行による証券業務への参入とその拡大が起きてきました。

 また、従来は固定されていた株式の委託売買手数料も完全に自由化されました。さらには手数料自由化とほぼ同時期にインターネットの普及が始まり、他の業種や業態からの参入が進んで競争が激化し、株式委託売買手数料は劇的に低下しました。それゆえ、多くの証券会社では、株式の委託売買に依存した経営からの脱却が目指されています。他方で、メガバンクを中心に、様々な金融サービスを広範に提供する企業グループが誕生し(金融のコングロマリット化)、証券会社が銀行の傘下に入るケースが見受けられます。

 このゼミでは、こうした証券市場を取り巻く環境の変化を歴史的に踏まえ、証券会社の経営やその他様々な証券市場にかかわる問題について考えていきたいと思います。具体的なゼミの進め方として、毎回のゼミは二つのパートに分けて行います。一つはゼミ生が、毎日「日本経済新聞」を読み、興味関心のあった記事をスクラップしてもらっていますので、その中から一週間の間に最も興味関心があった記事を報告し、今、現実に起きている問題について、他のゼミ生と考察します。他方で、テキストの輪読を通じて、証券市場、金融機関に関する理論的な考察を行っています。こうした二つの側面からのアプローチを通じて、現実に起きている問題を論理的に考えていきたいと思います。

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